2009年4月21日火曜日

企業内ブログが活用されないワケ

隣のグループがどんな仕事をしているかわからない・・・のような、およそ組織力を発揮するには程遠い情報共有環境の悪い企業は残念ながら少なくありません。情報共有の成熟度でいえば「ベーシック」であり従業員の可能性を発揮すらできていない危機的状況です。

情報共有の最初の一歩として「自分がどんな役割とミッションを持っているか」を発信することが必要です。これをFace to Faceでのコミュニケーション、あるいは飲みニケーションで関係を構築するのが確実な手段として一般化されています。これに勝る方法はないかもしれません。

これによって仕事の幅を広げることができますが、仕事がこうしたネットワークに依存することも同時に発生します。

例えば、「この新しい企画を通すには誰に相談すればいい? - それなら営業部のXXさんとサービス部のXXさんがいい。紹介しようか?」といったケースがあります。キーマンを事前に把握して事前相談することでコンセンサスを得やすくするなどがありますが、キーマンを知っているのは組織に長くいて社内の状況を把握している人の知識に依存しています。

こうした人たちが部署を異動することが唯一確実なナレッジマネジメントともとれますが、これは大きな企業にある程度限定されていますし、人への依存だけでは全体の底上げにはなりません。

この場合、成熟度と実施レベルを切り分けて考えることが大事です。ナレッジマネジメントの成熟レベルには4階層あります。

成熟度1階層目「ベーシック」においては、まず社員同士を知るところから始まるます。「誰」がどんな「目的」でどんな「日常業務」をしているかを発信していく手段として「社員の企業内ブログ」を活用すべきです。

ここ2-3年ほど「企業内ブログ」を実施できるITインフラが整備され、Microsoft SharePoint Serverのようなブログ機能を標準搭載したグループウェアが登場しています。しかしながら、なかなか活用されているケースは少ないようです。

なぜ活用されないのでしょうか?

最も企業内ブログを活用しているのは「経営者」です。経営者は普段従業員と時間を共有する機会が少ないため現場を知る機会を求めます。一方で会社の方向性を決定する重要な決断をしますが、同時に従業員への説明責任があります。こうした「従業員との双方向のコミュニケーション」や「タイムリーな社内情報発信」を目的に企業内ブログを活用し、いくつか成功事例も確認されています。

では一般従業員は?
従業員の多くは自ら情報発信する際にいくつかブレーキのかかる要因があります。
・自ら発信する情報が本当に周囲に有益なのか?
・誰も読まないかもしれない情報に多忙な中で時間をかけられるのか?
・そもそも文章を書くのが得意ではない

これらの問題解決には、第1に従業員ひとりひとりが情報共有に対する意識を高めることが必要であり、このための社内トレーニングやツールの説明といった人材育成プログラムでサポートすべきです。

第2に情報共有を人事評価を取り入れる必要があり、情報発信や情報共有を業務と認め、業務時間の構成比率のうち5-10%程度あてる、などの経営判断やプログラムを導入すべきです。

草の根的に一般従業員が活用を努力するだけではなく経営者側の努力も必要不可欠です。現在、活用が進まない理由の経営者側の努力不足は否めないでしょう。経営者は人材投資の観点で社内コミュニケーションを検討すべきフェーズにあると思います。

0 件のコメント: