2009年8月18日火曜日

OSという概念の光と影

Office for Macの次バージョンでは、Outlook for Macが同梱されるというニュースは、私のようにMicrosoft製品を手放せないMac初心者には朗報です。

Mac上でBoot Campを使わずにSunMicrosystemsのVirtualBoxでWindows 7(RTM)を動かしていますが、仮想環境なのでAeroは使えないしOutlook 2010 (Technical Preview)が調子悪いこともあって、Mac側でメールや予定表を見ていることもあります。Outlookでアドレス帳、予定表、メモをiPhoneに同期しているので、iTunesでチェックさえすればMac側の「メール」「アドレス帳」「iCal」と同期も簡単です。

とはいえ、Mac上で仕事ができるかといえば、Officeファイル作成→メール送信は一連の業務の流れなので、この親和性がないと生産性が落ちます。従って、Macで動くOutlookは待望でもありました。

さて、短絡的にMacにOutlookがやってきた!という話ではなく、ここから今後のマイクロソフトの戦略が見えてくるのという話です。

このニュースと同じ頃に携帯電話端末では世界No.1のシェアを誇るノキアとマイクロソフトがOffice関連で提携を行い、これによりノキアのSmartphoneデバイス上でOffice Mobileを利用できほか、以下を実現するそうです。
・Office ドキュメントが「編集できる」(これまで他デバイスでは殆どは読み取り専用だった)
・ExchangeサーバーとのActiveSyncでPIM情報が同期できる
・Office Communicatorが起動でき、今何しているかのプレゼンス情報が見える
・SharePoint Server への接続が可能で、どこにいても社内文書へアクセスが可能
・System Centerでデバイスを管理

この意味するところは、マイクロソフトがWindows Mobile以外の携帯端末でもOfficeや各種Serverサービスを展開しOfficeユーザーを増やす一方で、接続するサーバー製品の利用を拡大しライセンス料を獲得していくことにあります。同時にPCでも携帯でもOSを持つ端末メーカーはこれにより付加価値を高め、例えばARPU (Avetage Revenue Per User)を増やしたり利用機会や顧客満足の向上を目指しロイヤリティを高めていく仕組みです。

つまり、SaaS型ビジネスモデルではなくとも、クラウドの世界へ突入した昨今ではこれまでのようなOSへの依存や制限が加速度的に低下してきて新しい協業モデルやビジネスモデルが生まれてくると思います。

良くも悪きもマイクロソフトのOSとOffice依存の収益モデルは、転換期を迎えているといってもよく、OSのシェアを極力落とさずにサーバー製品でいかに収益を上げていくかが今後の鍵になりますが、そこにはWindows、Linux、Unixのクライアント、サーバー、モバイル等を管理できる「System Center」が注目されるでしょう(上のノキアとの提携でもでてきました)。私たちがビジネスをしているSharePoint Server は全世界で13億ドルのビッグプロダクトになったそうですが、次はSystem Centerだとする記事もでています。

今後、OS/Office依存の脱却とOS/Officeを中心としたサーバー製品での収益獲得を同時に進めていくことになるマイクロソフトに注目です。

さて、Mac初心者の私ですが、2009年9月以降にリリースする予定の次期OS 「Mac OS X Snow Leopard」は、Microsoft Exchange Serverを標準でサポートしていることにも注目しています。つまりMacもOutlook for MacやExchaneg Server連携などで、ビジネスエリアへの進出に本腰を入れているということになります。もちろん、そのトリガーを引いたのはiPhoneであることは間違いないでしょうが、こちらも楽しみです。

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